一級建築士が解説!マイホーム計画にも役立つ建築設計の流れ

  • 実務で行う設計の流れが知りたい!
  • 設計って具体的にどのようなことをしているの?
  • マイホーム計画のために設計について知っておきたい!

今回はこのような声にお応えします!

設計と聞くとパソコンを前にして図面を描いているイメージがありますよね。

しかし、具体的な設計の流れや検討内容までは理解していない方も多いのではないでしょうか。

今回は実務経験も踏まえて設計の流れや関係者についてまとめていきます。

マイホーム計画の注意点にも触れているのでぜひ参考にしてくださいね。

目次

設計の進み方

単に「設計」といってもプロジェクトの段階によって内容が変わります。

設計業者を探す段階から工事着工まで順を追ってまとめていきます。

STEP
企画設計

契約前の簡単な設計を行います。

STEP
設計・監理委託契約

契約を結び、設計がスタート!

STEP
基本設計

お客様のこだわりを反映させていきます。

STEP
実施設計

詳細に検討を重ねて、具体的な金額が決定します。

STEP
工事請負契約

工事着工に向けて契約を結びます。

設計の流れについて詳しく知りたい場合は、次の参考書が役立ちます。

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STEP1 企画設計

企画設計とは、設計に関する契約(STEP2でまとめています。)を結ぶ前に行う設計のことをいいます。

初めから設計を依頼する業者が決まっているのであれば特に問題はありませんが、なかなか決まっていないのが実情ではないでしょうか。

その際に、簡単に設計プランを検討し金額を見積もって提案することがあります。提案に納得がいけば契約を結ぶ流れになります。

契約を結ぶための設計ということですね。

ハウスメーカーや工務店に対してはある程度標準化したプランがまとまっているので、カタログなど資料を請求することが多いです。

STEP2 設計・監理業務委託契約

設計の依頼先が決まったら設計・監理業務委託契約を結びます。契約内容には業務内容範囲、設計の期間、支払う金額などが書かれています。

支払う金額は設計者に対する人件費や設計の諸経費と考えるとわかりやすいです。

建物本体の金額はここでは含まれていません。建物本体の金額は後ほどまとめている「工事請負契約」の中に含まれています。

設計者がわかりやすく解説してくれるので、しっかり理解しましょう。

また、設計業務と監理業務は別物です。

設計業務:設計契約から工事着工までの設計を行う
監理業務:工事着工後に設計図書通りに工事が進んでいるか確認する

「設計・監理」業務委託契約であれば問題ありませんが、設計のみの契約となっていないか業務範囲に注意しましょう。

STEP3 基本設計

基本設計ではお客様の要望を具体的に設計図に落とし込んでいきます。

いわゆる間取りの計画で、打ち合わせが多い段階ですね。

「キッチンを中心とした間取りがよい」、「愛犬と一緒に過ごせる空間がよい」、「吹き抜けを設けたい」など多種多様なものを打ち合わせながら反映させていきます。

STEP4 実施設計

実施設計は主に3段階あります。

基本設計でまとめた図面について①詳細に検討し、②法的に問題がないか第三者機関に確認をしてもらったのち、③積算を行い具体的な金額がまとまります。

設計の終盤でやっと具体的な金額が決まるのですね。

建築設計図面はミリ単位で表現されます。キッチンや収納が納まっているか、廊下や階段の幅はしっかり取れているか、この段階で具体的に寸法がわかるようになります。

STEP5 工事請負契約

工事の依頼先と工事請負契約を結びます。契約内容には工事内容や工事の期間、支払う金額などが書かれています。

支払う金額は建築積算を行った結果に利益をのせた金額と考えるとわかりやすいです。

そもそも受け取る予定の建物に不備があった場合や、建設中に建物が地震などにより損傷した場合なども書かれているので、しっかり確認しましょう。

マイホームを計画する際の注意点

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マイホームを計画するのもさまざまな方法があります。

一生に一度の買い物なので後悔しないようにしたいです。

そこで、設計の視点からの注意点をまとめます。

設計・監理業務をどこに依頼するか

設計・監理の依頼先は主に3つあります。

  • 設計事務所
  • 工務店
  • ハウスメーカー

それぞれ得意分野とそうでない分野があります。メリットとデメリットを比較していくので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

設計事務所

メリット
  • 設計の自由度が高く、こだわりが最も実現しやすい
  • 納得のいくまでこだわりを追求できる
  • デザインに凝った建物を建てることができる
デメリット
  • 打ち合わせ回数が多く時間がかかる
  • デザインを優先してコストが上がることもある
  • 設計会社と工事施工会社が別のため、契約の手間が増える

こだわりのお風呂やキッチンなどを寄せ集めて1つの家を作りたい場合は設計事務所がぴったりです。

工務店

メリット
  • 工務店独自の家の規格や商品が整っているので打ち合わせしやすい
  • 設計事務所には劣るが、要望を反映させることもできる
  • 設計と施工会社が一貫していることが多く契約の手間が少ない
デメリット
  • 同じ工務店で建てた家でも品質にばらつきが生じることがある
  • 工務店が施工しやすい提案を受けることもある

工務店は設計事務所とハウスメーカーの中間と考えるとよいです。

ハウスメーカー

メリット
  • ハウスメーカー独自の家の規格や商品が整っているので打ち合わせしやすい
  • 規格化されていることで品質のばらつきが少なく建物完成までの期間も少ない
  • 設計と施工会社が一貫していることが多く契約の手間が少ない
デメリット
  • 決められた選択肢の中からプランを選んでいくスタイルが多く設計の自由度が低い
  • こだわりすぎるとオプション費用がかかり割高になってしまうこともある

こだわりが少なく、モデルハウスのようなもので満足する場合はハウスメーカーがおすすめです。

基本設計でほぼ全てのプランが決まる

「設計の進み方」でもまとめましたが、建物のおおまかなプランは基本設計の段階で決まってしまいます。

お客様の要望は最も優先順位が高いので打ち合わせの初期段階で聞かれることが多いです。

効率よく打ち合わせができるように、要望はあらかじめメモにまとめておき、一度に伝えられるように準備しましょう。

初めが肝心ということですね。

建築設計で関わる関係者

建築設計の中にもさまざまな専門分野に分かれています。

お客様との打ち合わせのでは、各設計者同士で詳細な打ち合わせがされています。

各関係者を知っておくと打ち合わせの内容もスムーズに入ってきますね。

どのような関係者がいるのか代表的なものをまとめます。

意匠設計者

建物のデザイン使い勝手を考えるのが意匠設計者です。お客様との打ち合わせの場に出てくるのも意匠設計者です。

また、プロジェクト全体のスケジュールも合わせて管理していることが多いです。

見た目に関する設計なので、人の筋肉に例えられることもあります。

構造設計者

建物の強度安全性に関して設計するのが構造設計者です。複雑な計算を行い、台風や地震に対して建物の安全性を確保しています。

デザインに関する部分では、柱や梁の大きさを決定しているのも構造設計者です。

骨組みに関する設計なので、人の骨に例えられることもあります。

設備設計者

空調や照明など居住の快適性について設計しているのが設備設計者です。建物の規模や用途から必要な設備を選んでいきます。

また、省エネやメンテナンスなど建物の運営とコストについて検討しているのも設備設計者です。

デザインに関する部分では、配管ルートをいかにうまく見せるか、あるいは隠すかといったことを考えています。

機能に関する設計なので、人の血液に例えられることもあります。

その他(外構・積算・工務など)

建築プロジェクトの中には設計者の他に建物まわりの外構を考える人、コストの計算と調整役の積算担当者、工事に向けてメーカーや職人さんへ発注を担当する人などがいます。

自分の専門を超えて多くの人と調整し合う必要があるのですね。

まとめ

いかがでしたか?

今回は建築設計の流れについてまとめました。

マイホーム計画の知識としても助かる内容でした。

建築設計の具体的な内容について知る機会も多くないと思うので、ぜひ参考にしてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

建築設計事務所に4年以上勤務し、培った知識や経験を実体験に基づき分かりやすく発信していきます。「楽しく安全な暮らしがしたい」「建築士の資格を取得したい」そんな想いを持つ人たちの助けになれるよう、ブログを運営しています。【保有資格:一級建築士】

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