設計製図試験にどのくらいの学習時間が必要?
必要な製図用具が知りたい!
ミスがなくなる作図方法は?

今回はこのような声にお応えします。
一級建築士学科試験の後には製図試験が控えています。
6時間半かけて建物を設計から製図までしなければならず、なかなかハードな試験ですよね。
今回は一級建築士設計製図試験を実際に突破した学習スケジュールと学習の工夫を紹介します。
実際の学習スケジュールと総時間


学科試験終了から設計製図試験までは11週間です。
その間の学習総時間はおよそ300時間です。



一週間で27時間ほどですね。
実際の1週間の例をまとめてみます。
曜日 | 学習内容 | 学習時間 |
土 | 資格学校で演習・復習 | 8時間 |
日 | 宿題・復習 | 9時間 |
月 | 記述復習・トレース | 2時間 |
火 | エスキス練習 | 2時間 |
水 | トレース・法規復習 | 1時間 |
木 | エスキス | 2時間 |
金 | 製図 | 3時間 |
合計27時間 |
1週間に3枚以上作図するようにしましょう。
また、時間が多めに確保できる休日はエスキスから作図まで通して行うことをおすすめします。



トレースはどのようなことをするのですか?
差がつくトレースの仕方


トレーシングペーパーを使って作図表現を覚えたりプランニングを整理したりします。
建物の機能として共通の階段やエレベーター、トイレなどは初めの1週間で覚えるようにしましょう。



階段の場合は階高によって段数が異なるのでそれぞれ練習が必要ですね。
プランニングの整理とは、建物の室の機能ごとに整理するということです。
トレース手順とチェックポイント


具体的に手順をまとめます。
1回のトレースにかかる時間は15分が目安です。また、トレースは演習問題の解答例が最適です。
フリーハンド、シングルラインで十分です。
- 黄色:共用部(エントランスホールや階段など)
- 青色:管理部門(事務室や機械室など)
- 緑色:屋外施設(外構や屋上庭園など)
重ねた時に注目する点は次の3点です。
- 階段やエレベータの垂直動線の位置
- 管理部門の立体構成(青色の管理部門は連続していないといけない)
- 廊下の位置(窓側に要求室を優先的に配置するため廊下は建物中央部に寄って配置されることが多い)
多くの受験生はSTEP3の立体的にプランニングを捉える練習をしていません。
この作業をすることでプランニングの力が格段に上がります。



周りの受験生と差をつけるポイントですね。
エスキスの流れ


基本的には資格学校で教わる手順と変わりないですが、1点重要な工夫をしていたので紹介します。
これから紹介する方法を行うことでエスキスや作図での手戻りが格段に減るようになります。
- 外構の検討
- 建蔽率の確認とグリットの仮定
- 建築高さの検討とボリューム(容積率)の算定
- 階の振り分け
- 垂直動線と大きな室を大まかに配置
- 400分の1でプランを再現
5の大まかに検討するのが重要な工夫です。
ここで可能な限りの配置パターンを洗い出し、成立する最適解を決定していきます。
大まかに検討する際のポイント


ポイントは次の3点です。
- 5mm角の方眼を1グリットと考える
- 大きな要求室や屋上庭園などセットバックするものを優先的に配置する
- この段階で2方向避難も考えて階段配置を決定する
この作業を行うことで、400分の1での再現の時にプランを再検討することがなくなります。さらに、垂直動線の位置がずれているミスや最上階まで繋がっていないミスがなくなります。



パターンを多く検討しているので作図での迷いがなくなり、心理的な負担が減る効果もありますね。
ミスがなくなる作図手順


設計製図試験では一発不合格となる採点項目が存在します。
毎年、ミスの多いものとして次の3つがあります。
- 垂直動線の不成立
- 防火設備の記入漏れ
- 要求室の欠落



これらのミスをなくすための作図手順の工夫を紹介します。
垂直動線と要求室名を作図するタイミングについて


ミスの多いものは早めに対処しておくことが鉄則です。
具体的には壁下書きと清書の間にひと手間加えます。
- 壁の下書き(シングルライン)
- 階段・エレベーター・垂直動線に関わる特定防火設備の記入
- 要求室名の記入
- 外壁・内壁の清書(ダブルライン)
メリットは作図しながら「防火設備を書き忘れないように。」や「要求室が足りているかな。」と余計な不安がなくなります。
もう一つのメリットとして、仮にもし間違えていたとしても作図の早い段階なので修正が効きます。作図を進めてからだと間に合わないですよね。



ミスのしやすいものは早めに対応することがポイントになっていますね。
ラストスパートに意識したこと


製図試験の1週間前からはこれまでの課題の復習をします。
おすすめは過去の課題の中で自分が犯してしまったミスとその対策を振り返っておくことです。
試験直前は各資格学校が予想問題を出してくるので情報が飛び交うようになりますが、試験の直前に新しいことを覚えると、かえって焦って不安に駆られてしまいます。



復習を継続し本番で練習と同じ冷静さで実力を発揮できるように準備しましょう。
設計製図用具一覧


設計製図用具を書き出していきます。
必須のものと必須でないものがあるので使用用途をみて選ぶようにしてみてください。
- 製図板
- 製図用シャープペン
- テンプレート
- 三角定規
- マーカーペン
- 三角スケール
- ドラフティングテープ
- マグネットプレート
- 筆記用具類(フリクション・ボールペン・消しゴム)
- 電卓
- 字消し板
- 製図用ブラシ
- 製図用手袋
- 滑り止めマット
- フローティングディスク
- その他
①製図板


用途 | 並行に水平線を引くことができる定規 |
重要度 | (必須) |
サイズは縦45cm×横65cm程度(A2サイズ)です。
②製図用シャープペン


用途 | 並行に水平線を引くことができる定規 |
重要度 | (必須) |
③テンプレート


用途 | 柱や植栽など正方形や円の作図に使用 |
重要度 | (必須) |
④三角定規
用途 | 並行定規と合わせて垂直線を引くのに使用 |
重要度 | (必須) |
サイズは長辺30cm程度のものと長辺15cm程度のものの2種類が必要です。
⑤マーカーペン
用途 | 問題用紙にマーカーを引き、文章を整理するために使用 |
重要度 | (必須) |
カラーは好みに合わせて使用しても問題ないですが、5色あると安心です。
⑥三角スケール


用途 | 避難経路の歩行距離を計測するのに使用 |
重要度 | (必須) |
1/200スケール(製図試験と同様)が必須です。サイズは30cm用、15cm用どちらでも問題ないですが、おすすめは30cm用です。
⑦ドラフティングテープ


用途 | 製図用紙を製図板に仮止めするのに使用 |
重要度 | (必須) |
テープの幅は12mm程度がおすすめです。次に紹介するマグネットプレートと役割は同じです。
⑧マグネットプレート


用途 | 製図用紙を製図板に仮止めするのに使用 |
重要度 | (ほぼ不要)(ドラフティングテープを使用する場合は不要) |
役割がドラフティングテープと同じです。ドラフティングテープと比較して、マグネットによる用紙の固定力が弱く、あまり使われないです。
⑨筆記用具類(フリクション・ボールペン・消しゴム)
用途 | 問題用紙への書き込みやエスキスに使用 |
重要度 | (必須) |
消しゴムは製図用のペン型でなく通常の長方形タイプがおすすめです。
⑩電卓
用途 | エスキス時の計算や面積算定に使用 |
重要度 | (必須) |
加減乗除、ルート計算、メモリー機能があれば十分です。関数電卓でも可です。
⑪字消し板
用途 | 小さい文字や直線をきれいに消すことができる |
重要度 | (ほぼ不要) |
きれいに文字を消すことはできますが、時間のロスが大きく実際に使っている人はほとんどいません。消しゴムを使って消した後に書き直した方が早いです。
⑫製図用ブラシ


用途 | 製図用紙の消しかすをはらう |
重要度 | (ほぼ不要) |
手を使うよりもきれいに消しかすをはらうことができますが、手を使う方が早いです。
⑬製図用手袋
用途 | 小指と薬指にはめることで黒鉛で手が汚れず、製図用紙も汚れにくくなる |
重要度 | (普通) |
実際に使っている人と使っていない人は半々くらいです。好みの問題なので必要であれば使用しましょう。
⑭滑り止めマット
用途 | 製図板の下に敷いて滑りを防止する |
重要度 | (ほぼ不要) |
実際に使用している人は少数いるので好みに合わせて選択しましょう。
⑮フローティングディスク


用途 | 三角定規に貼り付けることで三角定規の移動で製図用紙が汚れにくくなる |
重要度 | (ほぼ不要) |
実際に使用している人はわずかにいます。三角定規と製図用紙の間にわずかに隙間ができることで、思い通りの線が引けないことがあるのがデメリットです。
⑯その他(コンパス・分度器・鉛筆削り)
用途 | 使う場面はありません |
重要度 | (不要) |
まとめ
いかがでしたか?
今回は設計製図試験の学習総時間と学習方法についてまとめました。



学習方法ではワンポイント工夫する点があり、参考になりました。
自分に合った方法を見つけて本番で力を出せるように練習を積み重ねていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。