【一級建築士】どんな人が合格する?実際に受けて感じたたった1つの特徴

  • 一級建築士設計製図試験に合格する人はどんな人?
  • 一発アウトになるミスが知りたい!
  • 試験中に気をつけることは?

今回はそのような声にお応えします!

一級建築士の2次試験にあたる設計製図試験

この設計製図試験を突破すると晴れて一級建築士になれますが、その分試験にかかるプレッシャー非常に大きいものです。

どのような人が合格するのですか?

ここでは、筆者が実際に受けて感じた合格者の共通点や試験中に気をつけることをまとめます。

一発アウトになるようなミスもまとめています。学習の参考にしてください。

目次

どんな人が合格するのか

どのような人が合格するのか、一言で表すと簡単なミスをしない人です。

設計製図試験では課題文を読み取って設計し、成果物として図面を作成します。

時々「デザインに優れた魅力的な建物を設計しないといけない」と思われていますが、実際はそんなことはありません。

デザイン力やセンスはそこまで重要ではないです。

なぜ、簡単なミスをしない人が合格するのですか?

設計製図試験の採点内容を知ると理由がわかります。採点について次でまとめます。

設計製図試験の採点の詳細

設計製図試験の採点結果は4段階に分かれています。採点は減点方式とされていて、ランクⅠのみ合格です。

  • ランクⅠ:ランクⅡ〜Ⅳ以外(合格)
  • ランクⅡ:小さなミスにより減点が積み重なった結果、合格点に及ばない(不合格)
  • ランクⅢ:試験元があらかじめ設定したよくないプランを作成し、課題の要求を満たしていない(足切り)と判断された(不合格)
  • ランクⅣ:重大な不適合がある、もしくは設計図面として法基準を満たしていない(不合格)

ランクⅣはそもそも図面が完成していないものや、階段が登れないようになっている図面など基本的な設計図としてNGのものになります。

また、ランクⅢも明らかにプランが良くないなど極端な場合に当てはまるので、練習によって対策することができます。

課題の要求はクライアントの要望として考えないといけないので、軽視すると失格になります。

特に、ランクⅣのミスが1つでも採点官に見つかってしまうと、それ以上図面を見られることなく失格になってしまいます。

時間をかけて描きあげた図面が見られないのは厳しい採点ですね。

ランクⅡは小さなミスが多い場合に当てはまり、ランクⅡ〜Ⅳ以外がランクⅠの合格となります。

設計製図試験に受験した人で、結果の内訳が公表されているのでまとめます。

令和ランクⅠランクⅡランクⅢランクⅣ
2年34.4%5.6%24.3%35.7%
3年35.9%6.3%26.9%30.9%
4年33.0%6.1%32.4% 28.5%
5年33.2%2.1%22.1%42.6%
6年26.6%1.5%23.9%48.0%

ランクⅡの人の割合がかなり少ないですね。

このランクⅡの人の割合が少ないのが、設計製図試験の最大の特徴です。

ランクⅢの対策できるようなミスや、ランクⅣの明らかなミスをなくせば合格できるといえます。

これが、簡単なミスをしない人が合格できる理由です。実際に筆者もいくつかミスをしながらも大きなミスがなかったように感じています。

さらに、採点に加点がないので魅力的な建物を設計しても試験では無駄になってしまいます。

ランクⅢやⅣの人の割合が多い理由

簡単なミスをしないといっても、ランクⅢやⅣの人の割合が多いのはどうしてですか?

人間なので完璧な回答はほぼ不可能ですが、ミスを起こしやすい要因がいくつかあります。

  • 年に1度の試験で緊張が高まる
  • 問題が難しく混乱する
  • 設計・製図の時間が足りず焦る
  • 周囲の環境がいつもと異なる

筆者の実体験として、設計・製図の時間が足りないというのがかなり大きい要因だと感じています。

練習の段階でこのような状況を想定して、本番で焦らないように心の準備をしておきましょう。

ランクⅣとなるミス

重大な不適合や法基準を満たしていないミスとは具体的にどのようなものがありますか?

ランクⅣとなるミスをまとめます。

重大な不適合となるもの

  1. 図面が未完成
  2. 指定階数に違反している
  3. 柱・EV・階段位置の上下階の不整合がある
  4. 屋根が記入されていない
  5. 主要な要求室が欠落している
  6. PS・DS・EPSが計画されていない
  7. 階段が成立していない
  8. 構造上安全な計画でない(丘立ち柱、スパン)
  9. 基礎構造計画が適切でない(杭基礎・直接基礎の選択)

屋根の未記入や要求室の欠落はうっかりしがちなミスです。

また、階段の不成立は非常に多く発生します。

階段の計画・製図で注意すること
  • 階段の上がり方向(矢印の記入)は上下階で回れるようになっているか
  • 屋上へ登れる、もしくは登れないように計画されているか
  • 蹴上げ・踏面・有効幅は適切か
  • 階高にあわせて段数が計画されているか
  • 扉の向きは適切か(避難方向に開くように計画する)
  • 階段の扉の位置は適切か(特に1.5回転の場合は注意)
  • 回り階段となっていないか
  • 梁またぎの計画となっていないか

階段は設計・製図の段階で何度も確認するようにしましょう。

法基準を満たしていないもの

  1. 建蔽率(建築面積)・容積率に違反している
  2. 延焼ラインが未記入、もしくは正しく記入されていない
  3. 延焼ラインにかかる防火設備が記入されていない
  4. 防火区画(面積区画・竪穴区画)の防火設備・特定防火設備が記入されていない
  5. 避難時の歩行経路が記入されていない
  6. 歩行距離もしくは重複距離が決められた距離よりも長い
  7. 敷地内の避難上有効な通路を計画していない
  8. 高さ制限に適合していない(道路斜線・隣地斜線・北側斜線)
  9. 法的採光が確保されていない

法基準を満たしていないミスの中では、延焼ラインの間違いや防火設備の記入漏れが非常に多く見られます。階段を見直すタイミングで、あわせて何度も確認しましょう。

試験中にすべきこと

試験時間の最後の15分程度は絶対に見直しをしましょう

重大な不適合に当てはまる表記漏れや見落としが必ず1つ以上見つかります。

一部の什器や図面に記載すべきポイントなど最後まで終えていないこともありますが、割り切って見直しをする勇気も大切です。

小さなミスは減点で済みますが、大きなミスは一発アウトです。

そのため、ランクⅣとなるような内容を最優先で見直すことが大事です。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、一級建築士設計製図試験に合格する人がどんな人なのかまとめました。

試験までにいかにしてミスを減らせるかの重要性がわかりました。

ミスをなくすには同じ失敗を繰り返さない意識が大切です。本番で成果を出せるように練習の段階で意識しましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

建築設計事務所に4年以上勤務し、培った知識や経験を実体験に基づき分かりやすく発信していきます。「楽しく安全な暮らしがしたい」「建築士の資格を取得したい」そんな想いを持つ人たちの助けになれるよう、ブログを運営しています。【保有資格:一級建築士】

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